レポート

中国主要モバイルバッテリーの大規模リコール背景──Anker/ROMOSS/BaseusとApex製「126280」、3C認証停止の影響

慧通信技術工業株式会社

概要

2024〜2025年にかけて、中国の主要モバイルバッテリーメーカーである AnkerROMOSSBaseus が自主的な大規模リコールを発表。合計は200万台超とも言われ、業界最大級の規模となりました。

メーカー名 リコール台数 対象製品 発表時期
Anker約71万台PowerCoreシリーズの一部2024年下旬
ROMOSS約49万台Senseシリーズ等2025年初頭
Baseus非公表(推定約80万台)自社EC経由製品2025年春頃

注:各社の公表内容・報道を元に整理。最新の告知は各社の公式情報をご参照ください。

原因と供給元

多くの案件は、安普瑞斯(無錫)有限公司(旧 Amprius Wuxi、現 Apex)が供給したリチウムイオンバッテリーセル 「126280」 に起因すると見られます。同社は米 Amprius Technologies の旧中国拠点で、現在は独立運営。主因は「発火・発煙リスク」で、特定ロットの品質不良が問題の中心とされています。

  • 中国語表記:安普瑞斯(無錫)有限公司
  • 旧名:Amprius (Wuxi) Co., Ltd./現:Apex (Wuxi) Co., Ltd.
  • モバイルバッテリー向け小型セル(126280 など)を OEM 供給

バッテリーセル「126280」の仕様

  • 形式:126280
  • 種類:リチウムポリマー電池(Li-Po)
  • 公称容量:約10,000mAh
  • 公称電圧:3.85V
  • 寸法:12 × 62 × 80 mm
モバイルバッテリーの大規模リコールと126280セルの解説

3C認証とは

3C認証(中国強制製品認証 / CCC)は中国国内での販売に義務づけられる安全・品質の制度で、日本の PSE、欧州の CE に相当します。今回の事案では取得済みでありながら製造工程の不備等により品質の一貫性が疑義となり、同社の複数の3C認証が停止される事態に発展しました。関連する ISO 認証の停止も報じられています。

影響と今後の課題

消費者の安全意識は急速に高まり、各国で輸入規制・認証制度の見直しが検討されています。メーカーにはトレーサビリティ強化、厳格なセル選定、量産検査の強化が求められます。日本国内でも同等型番セル採用製品の安全確認の動きが加速しています。

結論

表面的な認証の有無ではなく、製造品質管理と流通後の監視体制が安全を支えます。業界・規制・流通の全レイヤーでの再点検が急務です。

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