Original: https://www.ieee802.co.jp/cases/case-004-honshu-shikoku-bridges.php

Publisher: 慧通信技術工業株式会社 (Kei Communication Technology Inc.)

出典: 慧通信技術工業株式会社 200年橋梁を支える移動式電源|本州四国連絡橋で12年稼働するパーソナルエナジー

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200年橋梁を支える移動式電源|本州四国連絡橋で12年稼働するパーソナルエナジー
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慧通信技術工業株式会社「200年橋梁を支える移動式電源|本州四国連絡橋で12年稼働するパーソナルエナジー」

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導入事例 / 本州四国連絡橋

200年橋梁を支える移動式電源|本州四国連絡橋で12年稼働するパーソナルエナジー

本州四国連絡橋の移動式作業台車に採用されたパーソナルエナジー。トロリー線の保守負担を減らすオングリッド・オフグリッド複合電源として、2014年の納入から12年にわたり海上の過酷な環境で運用されています。

公開:2026-07-12
更新:2026-07-12
対象
長大橋の移動式作業台車
課題
トロリー線の保守負担
方式
オングリッド+オフグリッド
実績
2014年納入・12年運用

200年以上使い続ける橋梁を、どう維持するか

本州四国連絡橋は、本州と四国を結ぶ交通インフラであると同時に、海上、高所、強風、塩害という厳しい条件の中で維持される巨大構造物です。

長大橋を長期間使い続けるためには、橋梁本体だけを強くすればよいわけではありません。点検、補修、監視、制御に使われる設備もまた、長期間にわたり安全かつ低コストで維持できる必要があります。

本四高速は、構造物の長寿命化とライフサイクルコストの最小化を進め、200年橋梁への挑戦を掲げています。保全設備の電源も、この長期運用思想の中で考える必要があります。

長大橋の保全を支える専用作業車

本州四国連絡橋には、橋梁の構造や点検箇所に応じて、桁外面作業車、桁内面作業車、塔作業車、ケーブル作業車など、複数の専用作業車が設置されています。

これらの作業車は、通常の足場では接近が困難な桁下、桁内部、側面、主塔、ケーブル周辺へ、作業員や機材を運ぶための設備です。

橋梁保全の安全性と効率性は、こうした作業車を確実に動かせるかどうかに左右されます。作業車の電源は、単なる付帯設備ではなく、保全作業そのものを成立させる基盤です。

課題は、作業車ではなく給電設備だった

移動式作業台車を動かすためには、走行用モーターや作業機器へ電力を供給する必要があります。従来は、橋梁上に敷設されたトロリー線から作業台車へ給電する方式が使われていました。

橋梁上のトロリー線が受ける影響
  • 海水を含んだ風と塩分の付着
  • 高湿度、雨水、温度変化
  • 橋梁の振動と集電部の摩耗
  • 長距離配線の点検・交換
  • 高所での補修・張替え作業

トロリー線そのものが作業車より先に劣化すれば、橋梁を点検するための設備を維持するために、さらに別の点検と保守が必要になります。

従来のトロリー線給電
固定電源設備
    ↓
橋梁上のトロリー線
    ↓
集電装置
    ↓
移動式作業台車
    ↓
走行モーター・作業機器

固定電源から、台車とともに移動する電源へ

トロリー線の保守負担を減らすために採用されたのが、パーソナルエナジーです。

固定された給電設備から常時電力を受けるのではなく、作業台車側に蓄電・電力変換機能を搭載します。通常時には外部電源から充電し、移動時や作業時には蓄電した電力で独立運転します。

これは、オングリッドとオフグリッドを組み合わせた移動式電源システムです。目的は、単に蓄電池を搭載することではなく、固定設備として広範囲に敷設されていた給電インフラを減らすことにあります。

パーソナルエナジー搭載後
商用電源・充電設備
        ↓
パーソナルエナジー
        ↓
蓄電・電力変換
        ↓
移動式作業台車
        ↓
走行モーター・作業機器
電源を負荷側へ移す

必要な場所へ電源も移動し、長距離のトロリー線と集電部への依存を減らします。

固定設備を減らす

橋梁上に常設される電気設備を減らし、点検対象と交換対象を限定します。

2014年、耐塩害仕様11台を納入

2014年、本州四国連絡高速道路株式会社向けに、前年納入分を含め合計11台のパーソナルエナジーを納入しました。用途は、トロリー線に代わる移動式作業台車のインバーター電源です。

製品 出力 蓄電容量 台数 仕様
パーソナルエナジー 2kW / 200V 7.2kWh 3台 IP65耐塩害仕様
パーソナルエナジー 3kW / 200V 4.8kWh 8台 IP65耐塩害仕様
納入時に求められた条件
  • 海上環境と塩害に対応できること
  • 作業台車へ搭載できること
  • 充放電を繰り返しながら独立運転できること
  • 200V負荷へ給電できること
  • 長期間継続運用できること
  • 保守回数を抑えられること

過酷な環境で求められた耐久性

橋梁上の電源設備は、屋内設備とは異なる条件で使用されます。海水を含む強風、塩分、高湿度、雨水、紫外線、温度変化、橋梁振動、作業車走行時の振動、充放電の反復など、複数の負荷が同時に加わります。

一般的な蓄電システムでは、蓄電池だけでなく、筐体、端子、配線、接続部、インバーター、充電器、制御機器の耐久性が問題になります。パーソナルエナジーは、電池単体ではなく、電力変換、充電、制御、筐体を含めたシステムとして設計されました。

外装・防水・耐塩害

海風、塩分、雨水の影響を受けるため、筐体と接続部を含めた環境対策が必要です。

内部機器の保守性

長期運用では、交換可能な部品構成と、現場で保守できる構造が設備寿命を左右します。

12年後も現役であることの意味

2014年の納入から12年が経過した現在も、このシステムは保全作業に使用されています。

この実績を、単純に「蓄電池が12年間無交換だった」と捉えるべきではありません。評価すべきなのは、必要な点検と保守を行いながら、システムとして12年間継続利用されていることです。

12年運用が示すもの
  • 導入時の給電方式が現在も有効である
  • 固定給電設備の削減効果が継続している
  • 必要な保守を行いながら設備寿命を延ばせる
  • 更新前提ではなく、保全前提の構成である
  • 作業車の運用方式として定着している
2013年 一部設備を先行納入
2014年 合計11台の納入を公表
2014年以降 移動式作業台車の電源として運用
2026年 納入から12年、現在も現役

削減したのは電気代ではなく、橋梁上の保守作業

このシステムの経済性は、蓄電池の価格や電気料金だけでは評価できません。比較すべきなのは、トロリー線を含む給電設備全体のライフサイクルコストです。

総保有コストの考え方
総保有コスト
=初期導入費
+定期点検費
+部品交換費
+高所作業費
+資材搬入費
+作業員移動費
+作業調整費
+交通・運行調整費
+設備停止による損失
削減対象となる作業
  • トロリー線の点検・張替え
  • 集電部の交換
  • 給電設備の腐食補修
  • 長距離配線の補修
  • 高所での電気工事
  • 交換部材の搬入
  • 固定給電設備の障害対応

橋梁上の作業は、地上設備の保守よりも準備、安全対策、移動、作業許可に多くの時間と費用を要します。交換頻度を一度減らすだけでも、その効果は部品代だけにとどまりません。

保守回数を減らすことが、安全性の向上につながる

インフラ設備では、保守作業そのものにもリスクがあります。長大橋では、海上、高所、狭隘部、強風、振動、車両や列車が通行する近接環境で作業が行われます。

したがって、点検や交換を一回減らすことは、単なる作業費削減ではありません。作業員が危険な場所へ接近する回数を減らし、保全作業全体の安全性を高めることにつながります。

保守しやすい設備とは、修理しやすい設備だけではありません。
そもそも保守のために危険な場所へ行く回数が少ない設備です。

ロボット化・デジタル化を成立させる電源

本四高速では、長大橋の点検・補修を効率化するため、主塔点検ロボット、磁石車輪ゴンドラ、遠隔操作式清掃装置、センサー、画像解析などの技術開発が進められています。

しかし、ロボットやセンサーを導入しても、電源ケーブルの敷設、頻繁な電池交換、固定配線の点検が必要であれば、省人化の効果は限定されます。

デジタル化やロボット化では、機器本体と同じ程度に、電源の長期可用性が重要です。パーソナルエナジーは、機械を動かすための付属品ではなく、自律化・無人化を成立させる基盤設備として位置づけられます。

ロボットを動かすのは制御ソフトだけではない。
現場で止まらない電源が、自動化を実装する。

分散型電源が、インフラ保全の構造を変える

従来のインフラ設備では、中央の電源から長い配線を延ばし、各設備へ給電する方式が一般的でした。しかし、長大橋、トンネル、港湾、山間部などでは、固定配線の距離が長くなるほど、点検対象、故障点、交換範囲も増えます。

電源を負荷の近くへ分散し、必要な設備とともに移動できるようにすることで、配線距離の短縮、単一点障害の低減、障害範囲の限定、復旧時間の短縮、仮設運用への対応が可能になります。

本州四国連絡橋での事例は、現在でいう分散型電源、エッジ電源、移動式マイクログリッドに近い発想を、2014年から実装していた事例です。

中央集中型
電源
  ↓
長距離配線
  ↓
作業設備

点検・故障・交換範囲が広い
分散・移動型
電源+作業設備
電源+作業設備
電源+作業設備

必要な場所で独立して運用

導入概要・FAQ・相談窓口

納入先本州四国連絡高速道路株式会社向け
納入年2013年・2014年
公表台数合計11台
用途移動式作業台車のインバーター電源
従来方式トロリー線による給電
導入方式オングリッド・オフグリッド複合型移動式電源
出力2kW / 200V、3kW / 200V
蓄電容量7.2kWh、4.8kWh
環境仕様IP65耐塩害仕様
運用期間2014年から12年
現在継続運用中
パーソナルエナジーは、どのような用途で採用されましたか?

本州四国連絡橋で使用される移動式作業台車の走行・作業用電源として採用されました。従来のトロリー線による給電に代わり、作業台車側に電源を搭載する構成です。

完全なオフグリッドシステムですか?

外部電源から充電し、移動・作業時には独立して電力を供給する構成です。オングリッドとオフグリッドを組み合わせた移動式電源と位置づけられます。

12年間メンテナンス不要だったのですか?

メンテナンス不要という意味ではありません。必要な点検や保守を行いながら、システムとして12年間継続運用されている実績です。

橋梁以外にも利用できますか?

トンネル、港湾、鉄道、工場、倉庫、遠隔監視設備など、固定配線の保守負担が大きい設備や、移動する負荷への給電に応用できます。

Consultation

固定給電設備の保守コストを、電源方式から見直す

長距離配線、トロリー線、集電設備、高所での電気工事。移動設備の電源を見直すことで、固定給電設備の点検範囲や交換回数を減らせる可能性があります。

参考資料
  • 慧通信技術工業株式会社「本州四国連絡高速道路株式会社向けパーソナルエナジー納入のお知らせ」(2014年11月1日)
  • 本州四国連絡高速道路株式会社「長大橋の保全技術(維持管理設備)」
  • 本州四国連絡高速道路株式会社『本四技報 Vol.48 No.140』
  • 『建設の機械化』「長大橋の維持管理用機械設備」

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