1. OECDデータが示す、日本企業の生産性停滞の実像

日本生産性本部は2025年12月22日、OECDデータに基づく労働生産性の国際比較を公表しました。
それによれば、2024年の日本の時間当たり労働生産性は、OECD加盟38か国中28位。就業者一人当たり労働生産性でも 約9.8万ドル(約935万円)で29位と、先進国の中で明確な後れを取っています。

さらに実質ベースでは前年比▲0.6%と、わずかながらも低下しており、長期的な停滞が続いていることが見て取れます。

(出典:日本生産性本部「日本の労働生産性の動向 2024」/OECDデータに基づく国際比較)
https://www.jpc-net.jp/research/detail/007846.html

OECDデータが突きつける3つのポイント(要約)

  • 水準としての労働生産性は、主要先進国の中でも下位グループに固定化している。
  • 近年の伸び率も低く、「追い上げ」ではなく「横ばい~微減」が続いている。
  • 一人当たりGDPや賃金水準にも影響し、人的資本投資の余力を削いでいる。

つまり、「生産性が低い」という問題は、抽象的な印象ではなく、一次データに基づいた統計的な事実です。
にもかかわらず、多くの企業では「生産性向上」の掛け声ばかりが先行し、自社の生産性そのものを測れていないのが現状ではないでしょうか。

2. なぜ「生産性向上」が掛け声で終わるのか

経営計画・DX戦略・AI活用・人的資本経営──いまやあらゆる資料に「生産性向上」という言葉が並びます。
それでも、現場レベルで具体的な変化が起きないのは、原因が「やる気」や「意識」の不足ではありません。

原因1:生産性の定義と単位が決まっていない

  • 売上高/人、付加価値額/人、時間当たり売上、OEEなど、指標がバラバラ
  • 部門ごとにKPIが異なり、「全社の何を上げるのか」が共有されていない
  • 結果として、施策と指標の関係が曖昧になり、振り返りができない

原因2:「勘と経験」と「部分最適」に依存している

  • 設備・人員・シフトを、ベテランの経験に頼って決めている
  • 部門ごとに局所改善はあるが、全体としてのスループットが見えていない
  • トラブル時も、原因特定が属人的で、再発防止策が定量化されない

原因3:一次データが取れていない/活用されていない

もっとも本質的なのは、「一次データ」が十分に取れていないことです。

  • 設備稼働・電力使用量・工程時間・物流リードタイムなどが、体系的に取得されていない
  • データはあるが、システムが分断されていて、分析できる形になっていない
  • 「取れているつもり」のデータが、実は手入力や紙ベースで精度に問題がある

測れないものは、改善できません。
OECDデータが突きつける現実に向き合うためには、まず自社の生産性を「一次データ」から測れる状態を作ることが出発点になります。

3. 生産性向上は「一次データ」から始まる

ここで言う一次データとは、現場で発生する物理現象や業務プロセスを、加工前のまま取得したデータを指します。例えば、

  • 設備ごとの電力使用量・稼働時間・停止時間
  • ラインごとのスループット、仕掛在庫、ボトルネック位置
  • 物流拠点における入出荷量・滞留時間・トラック待機時間
  • 現場の温度・湿度・照度・人流といった環境データ

これらの一次データと、売上・粗利・人件費などの財務データを結びつけて初めて、 「どのプロセスの改善が、生産性にどれだけ効いたのか」を検証できます。

当社が取り組んでいるオフグリッド/マイクログリッドシステムおよびスマートメーターは、
単なる省エネや電力見える化のツールではなく、設備単位・工程単位の「一次データ基盤」として設計されています。

どの設備がどの時間帯に、どれだけ電力を使っているのか。
それは生産量・出荷量・品質指標とどう結びついているのか。
こうした問いに答えられるデータ構造を整えることが、生産性向上の第一歩です。

4. 制度面での後押し:中小企業経営強化税制をどう活かすか

生産性向上のために「一次データ基盤」を整備したくても、最初の一歩はどうしても投資を伴います。
そこで重要になるのが、制度面での後押しです。

当社のオフグリッド/マイクログリッドシステムおよびスマートメーターは、 中小企業経営強化税制の対象設備であり、2027年3月31日まで、
即時償却または最大10%の税額控除を選択することが可能です。

「即時償却」と補助金は、まったく別のもの

ここで誤解してはならないのは、「即時償却=補助金」ではないという点です。

  • 補助金:原則として雑収入として計上され、課税対象となる
  • 即時償却:支出した投資額を、その期の損金として計上できる

すでに利益が出ている企業にとっては、課税所得を圧縮しながら設備投資を進められるという点で、キャッシュフロー上のメリットが大きくなります。 補助金のように「収益計上 → 課税 → 手取り減少」というプロセスを経ないため、 実効税率の観点から見ても合理的な投資手法と言えるでしょう。

税額控除というもう一つのオプション

税額控除を選択した場合は、減価償却とは別に直接的な税負担軽減効果を得ることができます。これは、 P/L上の見え方以上に、中長期的な資金繰りと投資余力に影響を与える要素です。

生産性向上・BCP強化・ESG対応という経営課題を同時に解決しながら、税務上も合理性のある投資として成立する点に、 オフグリッド/マイクログリッド+スマートメーターというシステムの本質的な価値があります。

5. まとめ──生産性向上は、掛け声ではなく「一次データ」から

OECDデータが示すように、日本の生産性は国際的に見て明確に遅れを取っています。
しかし、それは「日本人の能力が低い」ことを意味しません。
むしろ、測られないまま放置されてきた構造的な問題が、数字となって表面化しているに過ぎません。

  • 生産性向上は、意識改革ではなく指標と一次データの設計から始まる。
  • 一次データと財務データを結びつけることで、施策の効果が「数字で」検証できる。
  • オフグリッド/マイクログリッド+スマートメーターは、設備単位・工程単位の一次データ基盤となる。
  • 中小企業経営強化税制を活用すれば、キャッシュフローを傷めずに投資を進められる。

生産性向上は、掛け声ではなく、一次データから始まります。
次回は、「生産性を測れない企業は、なぜ改善できないのか」をテーマに、 具体的な指標設計と現場データの取り方について、さらに深く掘り下げていきます。