Original: https://www.ieee802.co.jp/cases/case-001-taiho-bousai-part2.php

Publisher: 慧通信技術工業株式会社 (Kei Communication Technology Inc.)

出典: 慧通信技術工業株式会社 【タイホ防災株式会社 後編】 なぜ「高圧にしない」選択をしたのか

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慧通信技術工業株式会社「【タイホ防災株式会社 後編】 なぜ「高圧にしない」選択をしたのか」

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導入事例 / 大阪市 後編

【タイホ防災株式会社 後編】 なぜ「高圧にしない」選択をしたのか

一般的な設計に従えば高圧受電は自然な選択でした。それでも「将来、電気を減らせるか」という一点を基準に、RFP視点で判断と設計を再整理します。

公開:2026-01-17
更新:2026-01-17

「何も起きていない」ことが日常になった

現在、タイホ防災株式会社の社屋では、電源について話題に上ることはほとんどありません。 停電を意識することも、切り替え操作を行う場面もなく、業務は日常として続いています。

「電気がある」ことを実感するのは、トラブルが起きたときです。 しかしこの社屋では、トラブルが“話題にならない”。 それは、電源が頑張っているからではなく、最初から“頑張らせない設計”を選び、 さらに現場が改善を積み上げてきた結果です。

運用で重視されているのは「触らない」こと

この社屋の電源運用で最も重視されているのは、人が介在しないことです。 状況を見て判断し、操作し、切り替える——その行為自体を「設計に入れない」。 非常時ほど現場は忙しくなるからこそ、現場に判断と手順を増やさない前提が置かれました。

設備を“強くする”よりも先に、運用を“増やさない”。 この順番が崩れると、非常用設備は「いざというときに動かない」ものになります。 逆にこの順番が守られると、電源は“管理対象”ではなく、“背景”になります。

対策は「存在を感じさせない」

前編で触れた通り、この設備は屋上屋外という条件のもと、 黄砂・高湿度・高温(周囲温度50℃前後)・落雷リスクにさらされました。 運用の中で実際に落雷由来の故障も発生し、ここで「設置して終わり」ではない現実が露呈します。

ただし、対策は“見える形”で社員に負担を増やす方向には寄せませんでした。 筐体の空冷設計IP65相当の密閉、消耗部品の入れ替え、雷対策の強化。 重要なのは、これらが社員の作業を増やさずに実装されていることです。 対策が見えないこと自体が、正常に機能している証拠になります。

電源は「設備」ではなく「環境」になった

現在、電源は特別な設備として扱われていません。 空調や照明と同じく、すでに整っている環境の一部です。 “何かをしなくてよい”ことが、運用の品質になっています。

これは、設備が優れているからだけではなく、 現場が無理なく改善できる余地を残した設計だったから成立しています。 改善とは「追加の仕事」ではなく、日常の延長として組み込める形で積み上げられました。

非常時でも、業務は「通常通り」

外部インフラにトラブルが発生しても、社内の業務フローは変わりません。 社員は、いつも通り業務を続けるだけです。

非常時ほど「手順を増やさない」——この前提が、結果として非常時の強さになります。 電源の強さは、設備の出力だけでなく「運用の強さ」で決まります。

この事例が示していること

タイホ防災株式会社の事例が示しているのは、派手な仕組みではありません。 重要なのは、社員の負担を増やさない判断現場の声を反映する運用環境変化に合わせて更新する姿勢です。

それらが揃ったとき、オフグリッドは「意識されないインフラ」として成立します。 そしてもう一つ、この事例はRFP(発注仕様)に何を書くべきかを考える上で、 判断の軸をはっきり示してくれます。

なぜ私たちは「高圧にしない」選択をしたのか

当時、一般的な設計を選べば、この判断を説明する必要はありませんでした。 それでも私たちは、「将来、電気を減らせるか」という一点を基準に設計しました。

もし空調を電気式(EHP)に寄せ、最大負荷で設備を組めば、高圧受電は自然な帰結になります。 しかし高圧受電は、設備だけでなく、契約・点検・運用コストという形で建物の自由度を固定します。 一度選べば、後から「減らす」「縮小する」「運用を軽くする」が難しい。 だから私たちは、受電方式を“結果”として決めるのではなく、先に負荷の考え方を整理しました。

この案件では、当初ゼネコン提案はEHP(電気式空調)でした。しかし施主は「将来」を見据え、 低圧受電、しかも電灯受電のみで賄える構成を望まれました。

そこで当社は、負荷を分解して設計しました。 空調は四季のうち概ね6か月(+α)という季節負荷として扱い、災害時にも使えるようGHP化。 それ以外を定常負荷として算定し、設備容量は25kWでキャップ、通常は12〜13kW程度の想定で運用できる範囲に収めました。

定常負荷は屋上設置の太陽光パネルで全量を賄い、不足分をLPガス発電で補う。 さらに陸屋根の太陽光は、責任分界の都合から引き渡し後の施主工事として実施し、 防水層を傷めない施工方式で納めています(台風・強風でも問題なし)。

判断基準は「今の最適」ではなく、将来の自由度でした。 受電方式は“設備の話”に見えて、実際には運用とコストの構造そのものです。

もし最初からRFPを書くなら

この案件を、もし最初からRFPとして書き直すなら、設備スペックの前に、次の問いを明記すべきだったと考えています。 ここが曖昧なままだと、比較は「価格」と「最大スペック」に寄り、将来の選択肢が消えます。

  • この建物は、将来、電気を減らす可能性があるか(増やす前提で固定してよいのか)
  • 負荷を「季節負荷(空調)」と「定常負荷」に分解して設計するのか
  • 最大値で受電方式を決めるのか、想定内でキャップするのか(キャップ値の根拠は何か)
  • 受電方式の選択責任は誰が持つのか(建築/設備/施主工事の責任分界を含む)
  • 屋外設置時の環境条件(黄砂・高湿度・高温・落雷)を“設計条件”として明記しているか
  • 災害時・異常時の運用条件(誰が、何を、どこまで“通常通り”維持するのか)

これらの問いがRFPに明記されていれば、 比較の軸は「初期価格」ではなく、将来コストと運用の自由度へと自然に移ります。 本事例において示したのは、特別な“正解”ではありません。 RFPに何を書くかによって、選択肢と結果がどれほど変わるか—— その判断軸そのものです。

RFP視点で読む(学校エアコン編)

「なぜ高圧にしたのか」を、学校エアコンの意思決定構造として整理します。 本事例と対比することで、RFPの課題が“自ずと浮き出る”構成です。

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次回は「部分的オフグリッド」という、もう一つの現実的な選択を紹介します。

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