オフグリッドという選択 ─ 技術で『止めない』世界をつくる

電力に縛られず、現場を“動かし続ける”ための設計思想。可搬型電源・自律分散システム・無瞬停制御を融合し、停電や災害でも止まらない社会インフラをつくる。エンジニアが語るリアルな現場知と、テクノロジーの未来。

「止めない」という思想は、非常時の選択肢ではなく、日常を支える設計哲学だ。 その根底にあるのは、“現場を動かし続ける”という使命感である。

オフグリッドは「離脱」ではなく「自由」──。 電力インフラに依存せず、どんな場所でも、どんな時でも、システムを動かし続けるための自律分散技術。 工事ができない環境、寒冷地、危険物エリア、そして災害対応まで。 技術の粋を集めた“止めない現場”のための挑戦がここにある。

工事できない現場でも“無瞬停”を実現

既設ラインや危険物取扱エリアなど、配線工事が制約される環境では、末端側(機器近傍)での可搬型UPSと双方向インバータによる給電が有効です。投入順序や突入電流管理で復帰時の安定化も図れます。


可搬型で“止めない”を持ち運ぶ

可搬型UPSとホットスワップ運用で、倉庫・工事現場・臨時設備でも継続稼働を実現。寒冷地・高温環境・粉塵などの条件に応じた筐体・換気・断熱の設計がポイントです。


医療・食品など“止められない”現場の無停電化

HACCP対応や医療機器の瞬断対策では、切替ロス(ms)と冗長化、メンテ性(交換の容易さ)を両立する構成が重要です。末端給電+局所冗長化は導入負荷を抑えつつ信頼性を引き上げます。


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FAQ(よくある質問)

瞬停対策と停電対策は何が違いますか?

瞬停は数ms〜数百msの電源瞬断で、PLCや通信機器の再起動・誤動作を招きやすい現象です。瞬停には“切替ロスのない(無瞬停)”電源構成が有効です。停電は分〜時間単位の断で、容量(Wh)と交換運用(ホットスワップ)が要点になります。

工事ができない仮設現場で、無瞬停を実現する方法は?

可搬型UPSと双方向インバータを用い、機器に近い“末端側”で給電する方式が有効です。PDUと組み合わせ、投入順序・突入電流を管理すれば停電復帰時のラッシュも抑制できます。

火気制限現場ではどんな電源を選ぶべきですか?

リチウム電池が制限される環境ではAGM(鉛)方式が実務的です。輸送・保守・実装の観点で扱いやすく、SDSや規格適合の確認も容易です。

寒冷環境での可搬電源の注意点は?

低温で内部抵抗が上がる電池では出力が急落しやすく、通信遮断や機器停止の原因になります。低温性能が安定する方式の選定と、ヒーターや断熱・設置位置の工夫でリスクを抑えます。

導入効果はどのように算定すれば良いですか?

停電・瞬断による停止コスト(人件費・ライン停止・逸失売上等)を“1回の事故×発生確率”で算定し、電源冗長化の費用と比較します。近年はランサム停止も含めたBCPの一環として、短期ROIで回収される事例が増えています。