便利が止まったら ― 震災を経て、止まらない日常の設計思想 ―

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made in KOBE——2026年1月17日 慧通信本社前から
made in KOBE——2026年1月17日 慧通信本社前から

この記事の要約

  • 阪神・淡路大震災から31年。便利の前提が崩れたとき、日常は「依存」に変わる。
  • 現代インフラは「集中・同期・常時接続」で合理化される一方、一点障害を内包する。
  • 私たちはモノや価値そのものではなく、「巨大なシステムへのアクセス権」を行使している。
  • オフグリッドとは「つながらない」ではなく、必要なときに必要な分だけ自律的に機能する設計。
  • 2026年、いま問うべきは「何が便利か」ではなく「何が止まらないか」。

1. 31年目の1月17日:原点に立ち返る

今日で、阪神・淡路大震災から31年目を迎えます。
1995年1月17日。
都市は一瞬で機能を失い、「当たり前」は脆く崩れ去りました。

当社がパーソナルエナジー、そしてオフグリッドという思想を育ててきた原点は、今もこの日に立ち返ります。
made in KOBEという言葉に込めた意味は、31年経った今も変わっていません。

そして2026年。
社会が大きく変わることを、多くの人が直感的に感じ始めている年でもあります。
だからこそ今、「問いの立て方」そのものを問い直す必要があるのではないでしょうか。

2. 便利は、なぜ「当たり前」になったのか

スマートフォンは、なぜつながるのでしょうか。
LINEで、なぜ通話ができるのでしょうか。
キャッシュレスとは、一体何なのでしょうか。
マイナンバーは、本当に「便利」なのでしょうか。

これらの問いは、日常ではほとんど意識されません。
なぜなら、それらは止まらないことが前提として設計されているからです。

電気があること。
通信があること。
金融システムが機能すること。
国家が信用されていること。

これらはすべて「前提条件」であり、
私たちはその上に生活を積み上げています。

しかし、その前提が一つでも崩れたとき、
便利は一転して「依存」に姿を変えます。

3. 集中・同期・常時接続という設計思想

現代のインフラは、極めて合理的に設計されています。
集中管理、リアルタイム同期、常時接続。
効率性とスケールを追求した結果です。

しかし同時に、これは一点障害を内包します。

  • 巨大な発電所。
  • 集約された通信網。
  • 中央集権的な金融・行政システム。

どれか一つが止まれば、
連鎖的に「全部が止まる」構造でもあります。

阪神・淡路大震災は、
この構造の脆さを、身体感覚として突きつけました。

そして31年後の今、
同じ問いが、別の形で再び浮上しています。

4. 「つながる」ことの正体

LINEで通話ができるのは、
通信キャリアではなく、
インターネットとアプリケーションが音声を運んでいるからです。

キャッシュレス決済が成立するのは、
お金そのものではなく、
「信用情報」が即時に同期されているからです。

つまり私たちは、
モノや価値を直接やり取りしているのではありません。
巨大なシステムへのアクセス権を行使しているにすぎないのです。

アクセスできている間は、確かに便利です。
しかし、アクセスできなくなった瞬間、
その便利さはゼロになります。

※ 便利は前提条件です。前提が崩れた瞬間、便利は失われ、日常は止まります

5. お金の意味がなくなったら

もし、金融システムが停止したら。
もし、国家の信認が大きく揺らいだら。

お金は、ただの数字になります。
キャッシュレスは、ただの画面になります。

この問いは、極端な仮定ではありません。
歴史を見れば、国家の信用が崩れた例はいくらでもあります。

そして近年登場したトークン経済は、
この問いに対する一つの実験でもあります。

価値を中央に集めず、
分散し、非同期に記録し、
合意によって維持する仕組み。

それは単なる技術ではなく、
インフラの思想そのものの転換を意味しています。

6. オフグリッドという「解」

オフグリッドとは、
「つながらない」ことではありません。

必要なときに、
必要な分だけ、
自律的に機能すること。

集中ではなく分散。
同期ではなく非同期。
依存ではなく自律。

これは不便を受け入れる思想ではありません。
むしろ、止まらないための設計です。

便利が止まったとき、
それでも日常が続くこと。

それこそが、本当の意味での
「あたりまえ」なのではないでしょうか。

7. 問いを立て直す時代へ

2026年は、
社会が静かに、しかし確実に分岐する年になるでしょう。

これまでの前提が通用しなくなる瞬間は、
いつも突然訪れます。

だからこそ今、
「何が便利か」ではなく、
「何が止まらないか」を問う必要があります。

阪神・淡路大震災から31年。
神戸で生まれたこの問いは、
今、ようやく現代社会全体の問いになりつつあります。

便利は、いつか必ず止まります。
いま生きているからこそ、語れること。
だから私たちは、
止まらない「あたりまえ」を、設計し続けています。

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