あなたの現場にも当てはまる症状がありませんか?
- 夜間だけPoEカメラが再起動する(IR点灯後に落ちる)
- Wi-Fiアクセスポイント(AP)が突然再起動し、 数分間「Wi-Fiが落ちた」とクレームになる
- APやカメラを増設したら、関係のない別ポートが不安定になった
- 全ポート停止 → スイッチ再投入で復旧する
- 復電後にリンクフラップや給電再確立が発生し、 DHCP再取得や再認証が走る
- 「無線が不安定」と言われるが、ログを見ると 機器そのものが再起動している
これらは無線方式やカメラ機種の問題に見えますが、 実際にはPoEスイッチの入力側で起きている現象であることが少なくありません。
1. 夜間だけ再起動する(カメラ/Wi-Fi AP)
日中は安定しているのに、夜間になると数台のPoEカメラや Wi-Fiアクセスポイント(AP)が順番に再起動する。 ログを見ると、PoEリンクの再確立やDHCP再取得が繰り返されています。
PoEバジェットは計算上余裕がある。 それでも落ちる。
カメラではIR同時点灯、APでは再接続処理などにより 非定常ピークが発生します。 平均値ではなく、瞬間的な立ち上がり負荷が入力側の弱点を突きます。
2. 増設後に別ポートが落ちる(合計ではなく同時ピーク)
APやカメラを数台追加しただけで、 関係のない既存ポートが不安定になる。 これは「合計W」ではなく、 同時ピークが原因であることが多い症状です。
落とし穴
- “普段動いている”=余裕がある、ではない
- 起動・再接続のピークが同時に来ると崩れる
- 保護制御が働き、現場では「不具合」に見える
3. ときどきリンクが落ちる(物理層か、入力か)
通信は生きているのに給電が不安定、 APやカメラでリンクフラップが出る。 まずは物理層を疑います。
最短の切り分け
- 新品ケーブルで仮接続
- 巻き配線・熱源近接を除去
- 偏在か全体かで次の手を決める
4. 全ポート停止→再投入で復旧(ポートではなく入力側)
全ポートが同時に落ち、スイッチを再投入すると復旧する。 これはポート個別の問題ではなく、 入力側で保護動作が入っている可能性が高い症状です。
- 非定常ピークが入力側の弱点を突いた
- 瞬低・復電・経年劣化が重なった
- 結果として全断 → 再投入復旧が発生した
ここまで来ると、疑うべきはポートではなく PoEスイッチの入力条件です。
これら4つの症状は、別の問題ではありません
夜間再起動、増設後不安定、リンクフラップ、全断→再投入復旧。 これらはバラバラに見えますが、 多くの場合同じ根から発生しています。
それは、 PoEスイッチの入力側における非定常ピークと電源品質の重なりです。
法定点検停電時の事例:無人区画で監視を止めない設計
年次の法定点検に伴う計画停電。 専有部は無人状態となり、復電まで約10時間の停止が予定されていました。
しかし、監視カメラとネットワークは止められない。 物理的な立入監視、セキュリティログ取得、遠隔確認が必要だったためです。
問題はポートではありません。 停電時間そのものに対し、入力側でどこまで保持できるかという設計でした。
次回:PoEトラブルの正体ーPoEバジェットと電源品質
代表機種のPoEバジェットと装置電力消費量(W:有効電力)を並べ、 1500VA級UPSで何分持つのかを数値で示します。
あわせて読む
Part2
PoEトラブルの正体 ─ PoEバジェットと電源品質
「PoEバジェット=必要電力」ではない。代表機種のデータで誤解をほどきます。
→ 次回へ進む
Part3
PoEを止めない設計 ─ 入力を守るという解決策(一次側を強化)
既設ラックUPSを活かしつつ、前段(一次側=供給側)を強化して保持時間と電源品質を底上げする考え方。
→ 最終解(入力を守る)へ
Solution
可搬型UPS(重点保護)─ 既設UPSを“置き換えない”前段強化
PoEスイッチや上位ネットワークなど、止められない中枢から守る。既設構成を崩さずに追加できる電源設計。
→ 可搬型UPSを見る
※本シリーズは「症状(Par1)→数値(Par2)→解決(Part3)」の順に読むと、最短で設計判断が可能です。