要点

制御盤UPSの目的は、PLCだけを生かして機械を止めることではありません。 止めてはならない設備では、DC24V制御系とモーター・サーボなどの動力系を一体で無瞬断化します。

測る

電源、DC24V、PLC、サーボ、位置、工程を一次データとして時刻同期する。

守る

DC24V制御盤専用UPSと、必要な動力系UPSを設備機能単位で組み合わせる。

戻す

停止を避けることを優先し、停止した場合も一次データから復旧条件を再現する。

Voltage Dip / Control Reset / Drive Trip

1. 0.07秒の瞬低で、制御盤とモーターの両方が止まる

瞬低は、電圧の実効値が短時間低下する電源品質事象です。 0.07秒は、50Hzでは約3.5周期、60Hzでは約4.2周期に相当します。 人には一瞬でも、電磁接触器、AC/DC電源、PLC、サーボアンプ、インバータには十分長い異常です。

停止する層 主な機器 現場で起きること
動力系 モーター、サーボ、ポンプ、ファン、搬送軸、ヒーター 回転・搬送・圧力・温度が途切れ、工程条件や製品品質が変化する。
制御系 PLC、I/O、HMI、IPC、通信、センサー 制御シーケンス、通信、検査、位置認識、データ取得が停止する。
記録系 データロガー、履歴DB、時刻同期、監視端末 停止直前の一次データが欠落し、原因と影響範囲を再現できなくなる。

モーターを止めてはならない工程で、DC24V制御系だけを保持しても「止まらない設備」にはなりません。 動力・制御・記録を一つの設備機能として守る必要があります。

Primary Data / Time Alignment / Reproduction Point

2. 一次データ(1次データ)がなければ、どこから止まったか分からない

「瞬低で止まった」という説明だけでは、対策箇所を決められません。 供給側、制御盤、DC24V、PLC、駆動系、工程のどこで最初の逸脱が起きたかを、同じ時刻軸で比較する必要があります。

計測点 残す一次データ 判断できること
供給・受電側 電圧、電流、周波数、電源品質イベント 外部系統側から異常が入ったか。
制御盤AC入力 入力電圧、AC/DC電源の警報、ブレーカー・接触器状態 盤入力と盤内部のどちらで異常が発生したか。
DC24V母線 DC電圧、UPS動作、バッテリー状態、負荷電流 PLC・I/O・通信が落ちる閾値を下回ったか。
PLC・通信 イベント、I/O変化、エラー、リンク断、シーケンス番号 どの制御処理の途中で停止したか。
サーボ・モーター 主回路電圧、電流、位置、速度、トルク、アラーム 動力側停止が工程・位置・品質へ与えた影響。
工程・品質 ロット、レシピ、温度、圧力、検査値、作業履歴 仕掛品を継続できるか、再検査・廃棄が必要か。

1秒間隔の計測は、正常時のベースラインや負荷変化を把握するうえで有効です。 ただし、0.07秒の瞬低波形を直接捉えるには、電源品質記録計、UPSイベント、PLCイベント、サーボアラームなど、より短い事象を記録できるデータとの照合が必要です。

一次データとは|停止原因と復旧条件を再現する現場の証拠

DC24V Control Panel UPS / Battery Backup / Buffer

3. DC24V制御盤専用UPSは、制御系を保持する現実的な方法

DC24V制御盤専用UPSは、AC/DC電源の後段に設置し、PLC、I/O、HMI、通信、センサー、データロガーなどのDC24V負荷を保持します。 制御盤内へ組み込みやすく、守る負荷を分離しやすい点が利点です。

短時間の瞬低を吸収

PLC、I/O、通信のリセットを防ぎ、制御シーケンスを継続する。

数分間のDC24Vバックアップ

ログ保存、通信維持、復電待ち、必要な終了処理の時間を確保する。

状態信号を制御へ戻す

バックアップ中、バッテリー低下、異常、交換時期をPLCへ通知する。

DC24V制御盤専用UPSは、モーターやサーボ主回路を直接バックアップする装置ではありません。

動力を止めてはならない設備では、制御盤UPSに加えて、動力電源へ対応するUPS、瞬低補償装置、蓄電システムを組み合わせます。

Drive Power / Motor / Servo / Process Continuity

4. モーターを止めてはならない設備は、動力主回路も守る

モーター、サーボ、ポンプ、ファン、搬送軸が一瞬止まるだけで、製品、治具、圧力、温度、張力、位置関係が変わる工程があります。 この場合、「制御系が生きているから復旧が早い」では不十分です。工程そのものを継続するには、動力側も瞬低を通過させない構成が必要です。

目的 守る範囲 主な検討事項
状態を保持する DC24V制御系、通信、記録 DC24V容量、保持時間、バッテリー、状態信号。
工程を止めない 制御系+サーボ・モーター・必要な補機 定格、起動電流、回生、相数、接地、波形、瞬低深度・継続時間。
安全に停止する 制御、ブレーキ、安全機器、記録 停止順序、惰走、機械ブレーキ、残圧、残熱、データ保存。

「全部を守るか、制御だけを守るか」の二択ではありません。 製品と工程を成立させるために必要な負荷を、設備機能単位で選びます。

Capacitor / Battery / Required Hold Time

5. キャパシタかバッテリーかは、必要な保持時間で決める

瞬低対策では、特定の電池種類を先に決めるのではなく、何秒・何分・何時間を保持する必要があるかを先に決めます。

キャパシタ・バッファモジュール

短時間の瞬低を通過する用途に向きます。充放電回数、温度、保持時間、必要電力を確認します。

バッテリーを備えたDC24V UPS

数分以上のDC24Vバックアップ、ログ保存、通信維持、復電待ち、安全停止に向きます。電池方式、交換周期、温度、保守性を確認します。

動力系を保持する場合は、DC24V負荷とは桁の異なる電力が必要になるため、制御盤内のバッテリー容量だけでは決められません。 対象モーター、サーボ、補機の実測負荷と過渡特性を確認します。

Design Patterns / Control / Drive / Data

6. 制御盤UPSと動力系UPSの三つの構成

構成A:DC24V制御系だけを保持する

PLC、I/O、通信、ログを保持し、安全停止や復旧判断を支えます。モーター停止を許容できる設備向けです。

構成B:制御系と必要な動力を同時に保持する

DC24V制御盤専用UPSと、モーター・サーボ・補機に対応する電源を組み合わせます。工程停止を許容できない設備向けです。

構成C:設備セル全体をAC側で無瞬断化する

制御盤、動力、通信、検査を一つのUPS系統へまとめます。負荷特性、突入、回生、接地、保護協調を含む個別設計が必要です。

Assessment / Load Survey / Verification

7. 導入前に確認する10項目

  1. 止めてはならない設備機能を決める。
  2. モーター停止を許容できるかを工程・品質・安全から判断する。
  3. DC24V負荷をPLC、I/O、HMI、IPC、通信、センサー、ロガーに分ける。
  4. 動力負荷をモーター、サーボ、ポンプ、ファン、ヒーター、ブレーキに分ける。
  5. 通常電力、起動電力、回生電力を実測する。
  6. 必要な保持時間を瞬低通過、継続運転、安全停止、復電待ちに分ける。
  7. 一次データの計測点と時刻同期を決める。
  8. 相数、電圧、接地、漏電保護、保護協調を確認する。
  9. バッテリー交換、点検、異常信号を保全計画へ入れる。
  10. 実負荷で瞬低・停電・復電試験を行う。

Conclusion

8. まとめ:制御盤UPSは、動力と一次データを含む設備設計の一部である

DC24Vバックアップは、PLC、I/O、通信、センサー、データロガーを守る有効な方法です。 しかし、モーターやサーボを止めてはならない工程では、制御系だけを保持しても目的は達成できません。

必要なのは、供給側から工程までの一次データを時刻同期し、 動力・制御・通信・記録を設備機能単位で無瞬断化することです。

制御盤UPSは単独製品の選定ではなく、「何を止めず、何を記録し、どこまで継続するか」を決める電源設計です。

FAQ

よくある質問

Q1. 制御盤UPSとは何ですか?

制御盤内のPLC、I/O、HMI、IPC、通信、センサーなどへ継続給電するUPSです。DC24V出力を直接保持する方式と、制御盤のAC入力側を保護する方式があります。

Q2. DC24Vバックアップだけでモーターも止まりませんか?

止まります。DC24V制御盤専用UPSは、通常、モーターやサーボ主回路を給電しません。工程上モーターを止められない場合は、動力側にも対応した電源対策が必要です。

Q3. 一次データは何を記録しますか?

電圧・電流、DC24V、UPSイベント、PLC・I/O、通信、サーボ、モーター電流、位置、工程、品質を時刻同期して記録します。

Q4. キャパシタとバッテリーのどちらを選びますか?

短時間の瞬低通過はキャパシタ、数分以上の保持やログ保存、通信維持、復電待ちはバッテリーが候補です。必要時間と負荷から決めます。

Q5. 1秒計測で0.07秒の瞬低を特定できますか?

直接捕捉できない場合があります。1秒計測によるベースラインに、電源品質記録計、UPS、PLC、サーボのイベントログを組み合わせます。

制御盤UPSと動力系の保護範囲を整理する

当社では、PLC、I/O、通信、データロガーなどのDC24V負荷だけでなく、 モーター、サーボ、ポンプ、ファン、搬送軸を含め、止めてはならない設備機能を整理します。

一次データの計測点、実負荷、起動電流、回生、相数、接地、保持時間、復電方法を確認し、 DC24V制御盤専用UPS、動力系UPS、瞬低補償、可搬型UPSの適用範囲を設計します。 → 制御盤UPS・DC24Vバックアップを相談する

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