情報を届け続けるためのインフラ
情報システムが高度化するほど、電源の継続性が問われる
監視カメラの高感度化、センサーの高精度化、通信の無線化、データ配信の自動化。観測・情報システムの高度化は、現場に出向かなくても状況を把握し、判断するための手段を増やしてきました。一方、観測機器、通信装置、データ収集の入口となる機器は、いずれも電力によって動作します。
現場で情報を取得できなければ、通信回線も配信システムも、その地点の最新情報を届けることはできません。 災害時に必要な情報を継続して届けるには、カメラや通信機器の性能と同時に、電源をどの条件で、どれだけ維持できるかを設計する必要があります。
特に河川沿い、山間部、橋梁、離島など、商用電源の引込みが難しい地点では、太陽光と蓄電池による独立電源が観測・通信の成立条件になります。太陽電池が発電できない夜間や悪天候の間も、必要な機器へ給電を続けなければなりません。
河川監視カメラの高度化と、情報提供の継続
国土交通省は夜間視認性を向上。電源にも無日照7日間を要求
国土交通省は2025年7月25日、簡易型河川監視カメラ・危機管理型水位計の調達仕様の見直しを発表しました。国管理河川に約5,300台を設置していると説明し、夜間視認性などの機能向上により、河川の状況を分かりやすく伝え、住民の適切な避難行動を支える方針を示しています。
2026年3月13日には、カメラと水位計の機器仕様書(標準案)・手引き(案)の整備を公表しました。夜間視認性、観測精度、サイバーセキュリティなどの強化を進めています。
同月版の「簡易型河川監視カメラ購入 機器仕様書(標準案)」では、ソーラー電源を採用する場合、無日照状態で7日間(約2,000回)以上、静止画を伝送できる電源装置を求めています。観測機器が高機能化しても、無日照時に給電が途絶えれば情報提供を継続できません。これはカメラ単体の性能とは別に、電源を設計する必要があることを示しています。
※国土交通省の機器仕様書は一般的な機器の設計・調達条件です。当社PV-UPSについて国土交通省の認定・採用・推奨を示すものではありません。
無日照7日間 / 168時間
太陽光が発電しない7日間も、蓄電池から給電する
太陽光独立電源の設計では、無日照期間の負荷消費電力量を蓄電池で保持するだけでなく、日射が戻った後に充電状態を回復できる太陽光入力も必要です。連続給電時間、蓄電池の使用可能電力量、温度条件、DC変換損失、日常の発電・充電収支を一体で評価します。
無日照7日間(168時間)の連続給電は、接続する機器の消費電力に対して設計する要求条件です。 すべての負荷に対し、同じ蓄電池容量で168時間の給電を一律に保証するものではありません。
製品仕様公開
PV-UPS® — 2つの産業用太陽光独立電源モデル
慧通信技術工業株式会社は、指定負荷に合わせて蓄電池容量、太陽光入力、電力変換・充電制御を設計する太陽光独立電源「PV-UPS®」の製品仕様を公開しました。蓄電池方式、太陽電池モジュール、DC/DCコンバーターのメーカーを固定せず、設置環境・負荷・運用条件に応じて選定します。
基本DC電源モデル
通信機器、観測機器、センサー、制御設備、航空障害灯などに、用途に合わせた安定化DC電源を供給。DC24V系・120~200Ahを基本容量帯として、個別仕様を設計します。
遠隔監視モデル
産業用PoE+4ポートとLTEルーターを標準搭載。河川監視カメラなどのPoE負荷と通信装置を一体の独立電源系で給電します。カメラ・SIM・回線・サーバー連携・蓄電池テレメトリー等は拡張オプションとして構成します。
- 製品名
- PV-UPS® 太陽光独立電源(商標登録第5960057号)
- 設計要求
- 指定負荷に対し無日照7日間(168時間)の連続給電
- 基本容量帯
- DC24V系/120~200Ah(公称約2.88~4.8kWh)
- 大容量構成
- LFP DC55V級・最大100kWhまで個別設計
- 充電源
- 太陽光発電。日常の発電・充電収支も設計対象
- 遠隔監視モデル
- IEEE 802.3af/at対応PoE+4ポート・産業用LTEルーター標準内蔵
- 仕様決定
- 指定負荷とRFP・現地条件に基づく個別設計
※公称容量は使用可能電力量ではありません。太陽光パネル・架台・現地施工等は別途設計・手配します。
PV-UPS製品ページ・公開技術仕様を見る →設計・調達段階からの技術支援
設備調達の前に、何日間・何を動かすかを定義する
電源の容量を決めるには、監視カメラの通常時・夜間の消費電力、LTE通信装置の負荷、静止画伝送の頻度、周囲温度、日射、設置方位、蓄電池の期待寿命などの条件を確認する必要があります。PoE+4ポートを備えることと、4ポートの最大出力を168時間継続できることは同じではありません。
PV-UPSは、RFP(提案依頼書)の策定段階から、負荷条件の整理、必要電力量の算定、蓄電池・太陽光入力の構成検討、仕様書作成を支援します。公共インフラの設計担当者、建設コンサルタント、機器選定・調達担当者からの技術照会に対応します。
2011年からの太陽光独立電源技術
独立電源の実装経験を、観測・通信インフラの設計へ
当社は2011年から太陽光独立電源・オフグリッド電源を開発・販売し、離島、橋梁、防災通信、船舶、医療施設などの現場で独立電源を実装してきました。PV-UPS初号機は2017年2月に沖縄ライフサイエンス研究センターへ納入し、2026年10月現在も9年以上にわたり稼働を続けています。
2017年6月30日にはPV-UPSの商標が登録され、2018年には太陽電池を主電源とする製品の発表を行いました。これらは当社の技術・製品史であり、今回公開する現行モデルの構成が2017年の初号機と同一であることを意味するものではありません。
参考資料
慧通信技術工業株式会社
神戸を拠点に、独立電源、UPS、電力品質計測、監視・通信・制御の設計・実装・保守を行っています。