OffGrid 技術用語集

記事でよく登場する電気工学・制御の専門用語をまとめました。

あ行

  • インバータ モータの回転数やトルクを制御する電力変換装置。電源品質の影響を受けやすく、瞬停で停止するとラインが止まる原因となる。
  • オフグリッド 商用電源から切り離して、自前の電源で設備やラインを運転する方式。慧通信技術工業は工場ライン向けオフグリッド電源ソリューションを日本でいち早く自社開発した。
  • AGM鉛蓄電池 電解液をガラスマットに含浸させた密閉型鉛蓄電池。低温に強く、発火リスクが低いことからBCP用途のUPSに適する。
  • インバータ停止 モータ制御に使用されるインバータが電源瞬断で停止する現象。ライン停止や工程不良につながる。
  • インシデントレスポンス サイバー攻撃や障害発生時に、原因究明・封じ込め・復旧・再発防止を行う一連の対応プロセス。
  • アクティブディフェンス 論理防御だけに頼らず、物理遮断・電源制御・監査などを組み合わせ、攻撃の拡大を能動的に止める防御思想。
  • SPOF(単一障害点) そこが止まるとシステム全体が停止してしまう単一のポイント。集中化・一元化が進むとSPOFが増えやすい。
  • AI見守りカメラ AI解析により転倒・徘徊などを検知し通知する防犯・見守りカメラ。虐待防止やインシデント検証にも活用される。
  • SPF 送信元IPアドレスの正当性をDNSで検証するメール送信ドメイン認証技術。
  • ONU(光回線終端装置) 光回線を家庭や事業所のLANに変換する装置。停電時にはONU+ルーターの無停電化が通信維持の鍵となる。
  • エアギャップ ネットワーク的に完全分離された環境。LANやインターネットから切り離し、マルウェア侵入や横展開を物理的に防ぐ。
  • RTO/RPO 復旧目標時間(RTO)と復旧時点目標(RPO)。どのくらいの時間で、いつ時点までデータを戻すかというBCPの基本指標。
  • 攻撃面積の削減(ASR) 攻撃者が狙える入口・経路・サービスを減らす考え方。公開サービスや常時接続ストレージを絞り込み、ランサム被害範囲を限定する。
  • ERP(基幹業務システム) 販売・在庫・会計など企業の基幹データを一元管理するシステム。停止すると物流・生産が全面停止するためBCP上の最重要系統。

か行

  • 工程ログ いつ・どの設備で・どの条件で生産したかを記録したデータ群。品質保証やトレーサビリティ、工場監査の基盤となる。
  • 工場監査 顧客や第三者が工場の品質・工程・BCP体制などを確認するプロセス。瞬停対策やログ管理は重要な評価ポイントとなる。
  • 雷サージ 落雷で送電線や通信線に侵入する高電圧ノイズ。機器故障・誤動作の原因となるため、UPSやサージ保護での抑制が重要。
  • 可搬型UPS 移動可能なUPS。必要な場所へ即配置でき、ラインレイアウト変更にも追従できる“運べる電源”。局所的重要負荷を守る用途で有効。
  • 局所的重要負荷 「この装置だけは落とせない」という個別の重要機器。可搬型UPSで個別保護する対象となる。
  • 工程ログ欠落 製造工程の記録が電源トラブルにより欠落すること。監査・品質保証・トレーサビリティへ深刻な悪影響を与える。
  • クラウドメール Google Workspace や Microsoft 365 など、クラウド上で提供されるメールサービス。
  • コールドストレージ アクセス頻度の低い重要データを、速度より保全性とコスト効率を優先して長期保存するストレージ。仕入台帳・顧客マスタ・人事・税務データなどの“最後の砦”となる。
  • コールドウォレット ネットワークから切り離した状態で鍵や資産を保管する仕組み。ランサム対策では重要な鍵・バックアップをオンライン系から分離する発想として応用される。
  • 鍵ローテーション 暗号鍵や認証情報を定期的に更新・入れ替えること。長期間の鍵使い回しを避け、漏えい時の被害を限定する。

さ行

  • 制御バス PLCや制御装置同士が信号をやり取りするための配線・通信経路。瞬停などで停止するとライン全体が止まることがある。
  • サーボモータ 位置決めや速度制御を高精度で行うモータ。エラー発生時はリセットや原点復帰が必要になり、復旧に時間がかかる。
  • JIS規格 日本産業規格。電気設備分野では「1分以内の停電=瞬時停電」「1分以上=停電」など、電源トラブルの定義にも用いられる。
  • 重大インシデント 生産・安全・品質・社会的信用に大きな影響を与える事故・障害。ライン停止や大規模な出荷停止を伴うケースなどを指す。
  • 自動再送電(自動再閉路) 故障区間を遮断した後、一定時間(約1分程度)で自動的に送電を再開する仕組み。復電時の瞬停やサージが設備に影響を与えることがある。
  • 瞬停(瞬時停電) JISで「1分以内の極めて短い停電」と定義される電源断。落雷などで送電線が一時遮断され発生。短時間でもPLCやインバータが停止しラインが止まる。
  • 瞬時電圧低下(瞬低) 落雷などで電圧が一瞬大きく下がる現象。瞬停の主因となり、電源装置や制御機器の誤動作を引き起こす。
  • 据置型UPS 固定設置のUPS。大容量だが重量があり移設困難で、ライン変更の多い工場では柔軟性に欠ける。
  • 双方向インバーターUPS 常時インバータ運転方式で切替時間ゼロの無瞬断UPS。双方向DCバスで突入電流や急峻な負荷変動にも追従する。
  • 正弦波出力(純正弦波) 交流波形が正弦波に近い高品質な電源出力。モータや医療機器・複合機などで安定動作に寄与する。
  • サーボモータエラー サーボモータが瞬断や電圧低下で停止し発生するエラー。復旧に時間がかかり生産ロスを招く。
  • 災害・インシデント損害シミュレーション 停電・サイバー被害等を想定し、停止時間と損害額をモデル化してBCP投資効果を定量化する手法。
  • JEITA認定 一般社団法人電子情報技術産業協会による、生産性向上設備等の証明制度。中小企業等経営強化税制の適用要件に用いられる。
  • 生産性向上設備 中小企業等経営強化法に基づき、一定の生産性向上要件を満たすと認定される設備。即時償却や税額控除の対象となる。
  • Starlink SpaceXが提供する低軌道衛星インターネットサービス。災害時や山間部などでも高速通信を提供できる。
  • 災害時通信 災害発生時にも途絶させないことを目的とした音声・データ通信インフラ・運用。
  • ゼロトラスト 「社内だから安全」という前提を捨て、すべてのアクセスを都度検証するセキュリティモデル。バックアップやストレージへのアクセスも最小権限と多要素認証で守る。

た行

  • 電力会社の保護装置 落雷や短絡時に送電線を遮断し系統全体を守るための遮断器・リレーなどの装置群。動作時に瞬停や停電が発生する。
  • 電源瞬断 電源が一瞬途切れる現象。瞬停より短い場合も含む幅広い概念で、PLC・サーボ・通信がリセットされる原因となる。
  • 停電(1分以上) 1分以上続く電源停止。瞬停より長く復旧時間が読めず、生産・物流・医療などに大きな停止リスクをもたらす。
  • 電源ノイズ 電源ラインに重畳する不要な信号・ゆらぎ。制御機器の誤動作や通信障害を引き起こすためクリーン電源が求められる。
  • 突入電流 機器の電源投入直後に流れる大電流。複合機やモータ起動時に発生し、一般的なUPSの保護動作を誤発動させる原因となる。
  • トレーサビリティ 製造工程や流通経路を追跡し、いつ・どこで・誰が・何を行ったかを辿れるようにする仕組み。
  • ダウンタイムコスト システムや設備が停止している時間に発生する金銭的損失の総称。
  • 二重脅迫(ダブルエクストーション) データ暗号化に加え、窃取データの公開・通報を盾に身代金支払いを迫るランサムウェアの手口。
  • 中小企業等経営強化法 中小企業の生産性向上・設備投資を後押しするための認定制度や税制優遇を定めた法律。
  • DKIM 電子署名により、メール内容が改ざんされていないことと送信ドメインの正当性を検証する仕組み。
  • DMARC SPF/DKIMの検証結果に基づき、受信側に「どう扱うか」のポリシーを伝えるメール認証フレームワーク。

は行

  • 波形歪み 電源の電圧波形が理想的な正弦波から乱れる現象。インバータ負荷や電源ノイズの影響で発生し、制御機器の誤動作要因になる。
  • 変動負荷 時間とともに消費電力が大きく変動する負荷。プリンタやコンプレッサなどで顕著で、UPS側の追従性が重要になる。
  • ホットスワップ電池 電源を落とさずにバッテリー交換できるUPS機構。長期稼働やBCP用途に適する。
  • バックアップ時間延長 外付けバッテリーなどでUPSの連続運転時間を伸ばすこと。長時間停電対策で重要な設計要素。
  • PLC(プログラマブルロジックコントローラ) 工場ライン制御を担う制御装置。瞬停で再起動するとライン全体が停止するため、電源品質の確保が重要。
  • BCP(事業継続計画) 災害やサイバー攻撃などの危機発生時でも、重要業務を継続・早期復旧するための計画。
  • ビジネス・コンティニュイティ 重大な障害が発生しても、重要業務を継続・早期復旧するという経営の考え方・能力全般。
  • 00000JAPAN 大規模災害時に各社が無料開放する公衆Wi-Fiの統一SSID。誰でも接続できるが、電源が生きているアクセスポイントが前提となる。
  • FAX BCP システム障害時でもFAXを受注チャネルとして維持し、売上機会を逃さないための事業継続対策。
  • FAXサーバー FAXの送受信をサーバーで一元管理するシステム。電源と通信の両方を守るBCP設計が必要。
  • 物流DX 物流業務をデジタル化する取り組み。WMS/ERPと連動するため、電源トラブルや通信断の影響範囲が大きい。

ま行

や行

ら行

  • ライン停止 製造ラインが生産を継続できない状態。瞬停や設備故障で発生し、納期遅延や損失の直接原因となる。
  • ラインレイアウト変更 工場で設備配置やライン構成を変更すること。配線工事を増やさず電源側で柔軟に追従できると生産性が高まる。
  • ランサムウェア データ暗号化や情報窃取により金銭を脅し取るマルウェア。暗号化+情報公開を組み合わせた二重脅迫が主流。
  • RaaS(Ransomware as a Service) ランサムウェアの開発者が攻撃プラットフォームを提供し、他者がそれを利用して攻撃するサービス型ビジネスモデル。

わ行