瞬停(瞬時停電)
よみ:しゅんてい
瞬停は短時間でも設備を止めます。 数100ms〜数秒で PLC・インバータ・制御盤・通信が停止し、ライン停止と復旧作業が損失に直結します。
瞬停による工場停止を防ぐための、現場が止まらないための設計手順(保持時間 → 構成 → 導入)を実務目線で整理します。 併せて、瞬低(瞬時電圧低下)履歴や通知サービス(クローズドな個別通知)の確認ポイントもまとめます。
※「まず診断だけ」でも構いません。停止機器と必要保持時間が分かれば、対策は一気に具体化します。
結論:瞬停対策は「原因」より先に保持時間(ホールドアップ)を決める
瞬停(瞬時停電)や瞬低(瞬時電圧低下)は、発生要因を完全にゼロにするのが難しいため、実務では 止めない(保持する) が基本方針です。 重要なのは「何ms〜何秒持てば止まらないか」を先に決め、UPS/蓄電/直流保持などの手段を選ぶことです。
最短ルート(3ステップ)
- 止まると損失が大きい機器(PLC/インバータ/制御盤/通信)を特定
- 許容瞬断時間(例:0.2秒、1秒、5秒)を決める
- 保持時間に合わせて UPS / 蓄電 / 直流保持 を選定する
よくある症状(短くても止まる)
- PLCが停止し、復帰に人手(リセット/再起動/再原点)が必要になる
- インバータがトリップしてラインが止まる(安全設計として止まる)
- 計測・通信が途切れ、ログ欠損や再同期が発生する(品質/トレーサビリティにも影響)
- 安全系が働いて復帰手順が必要になる(復旧時間が損失)
瞬停/瞬低は「電気の問題」だけでなく、生産・品質・復旧工数の問題として評価すると、投資判断が早くなります。
瞬停(瞬時停電)とは
JISで「1分以内の極めて短い停電」と定義される電源断。落雷などで送電線が一時遮断され発生。短時間でもPLCやインバータが停止しラインが止まる。
実務上は「停電かどうか」より、設備が停止するか/復帰が自動か/復帰に人手が必要かが焦点です。 瞬低(瞬時電圧低下)のように“供給停止ではない”現象でも、機器側は電圧低下で停止することがあります。 そのため対策設計は、“現象の名称”よりも 許容瞬断時間(保持時間) を基準に進めます。
「瞬停」のあと、何を検索・確認すればよいか(最短チェックリスト)
瞬停が起きた直後に知りたいのは「原因」より先に、外因(系統)か内因(設備)か、そして止めないために何秒守るべきかです。 そのために、以下の順で検索・確認すると最短で切り分けできます。
- 一般・低圧受電:照明が一瞬消えた/PC・ルータが落ちた →「停電?瞬停?」「自分だけ?」
- 高圧・特別高圧(工場):停止損失が大きい →「瞬低/瞬停の履歴・通知」「復旧手順」「UPS/再始動」
- 未加入・未設定の担当者:通知サービスや履歴確認の導線が無い → まず検索で当たりを付ける
特に「クローズドな個別通知(契約者向け)」が中心のエリアでは、未加入・未設定のユーザーほど検索に頼りやすい構造になります。
一次切り分け:電力会社の「瞬低(瞬時電圧低下)履歴 / 通知」を確認する
「いま起きたのが 系統要因(広域) なのか、自社設備要因(局所) なのか」を最短で切り分けるなら、 まず 電力会社の公開情報(履歴/一覧)、または契約者向け通知(メール等) を確認するのが効果的です。
中部電力エリアの考え方(公開より「契約者向け個別通知」に寄せるケース)
エリアや事業者の方針によりますが、精密機器を扱う製造業が多い地域では、特定の契約者(工場)に対して 「その工場が接続されている系統の異常を即座に伝える」 というクローズドな個別通知に重点が置かれることがあります。 一方で一般向けの停電情報サービスは、一定時間以上の停電(例:5分以上)を主対象とし、瞬低のリアルタイム履歴をウェブで一般公開しない場合があります。
※通知メールの件名(タイトル)は運用・更新・セキュリティ配慮により固定文字列として一般公開されないことがあります。実務では送信元ドメインや本文項目(日時/種別/電気所名/低下程度)で判別し、フィルタ/振り分け設定を行う運用が現実的です。
現場の実務メモ(確認の順番)
- 電力会社の履歴/一覧(同時刻・同地域で発生しているか)
- 契約者向け通知(瞬低メール等:発生時刻・系統名・低下程度の記載がヒントになる)
- 受電点の記録(電力品質計測・イベントレコーダ・保護継電器ログ)
- 設備側のログ(PLC/インバータ/制御盤電源/通信機器のアラーム履歴)
“同時刻に広域で発生”が確認できると、原因追及に時間を使いすぎず、保持時間(ホールドアップ)設計に直行できます。 逆に痕跡が薄い場合は、設備側(盤内電源、接点、電源品質、負荷変動、保護動作)を重点的に疑います。
通知直後、工場担当者はどう動くか(秒〜分単位の実務フロー)
瞬低(瞬時電圧低下)通知を受け取る電気主任技術者・施設管理担当者は、直後に 「生産ラインの停止状況の確認」と「設備の保護・復旧」のため、極めて迅速に動きます。 これは「原因究明」より先に、安全と復旧(停止損失の最小化)が優先されるためです。
-
現場の被害状況の把握(最優先)
モーター/コンプレッサの停止(電磁接触器・マグネットスイッチ動作)、ロボット/制御PC/サーバの再起動・フリーズ、 防災・安全設備(非常灯/警報/誤作動)の有無を確認します。 -
設備の安全確保と「手動復旧」
電圧が戻っても、多くの設備は安全のため自動再起動しません。インターロック解除、重要設備からの順次起動(起動電流で再度電圧が落ちるのを避ける)を行います。 -
被害範囲の特定と報告
仕掛品(食品・薬品・自動車部品など)の品質判定、ログ欠損の有無、復旧時間の見積り、関係部門への連絡が発生します。 -
原因の照合(外因か内因か)
通知(発生時刻・系統名・低下程度)と受電点/設備ログを照合し、落雷等の系統要因か、設備内要因かを切り分けます。 -
対策の検討(事後行動)
発生頻度や損失が大きい場合、証跡(通知・ログ)を根拠に、UPS導入/増設、瞬低再始動リレー、直流保持(ホールドアップ)などを検討します。
ポイント:通知は“確定診断書”として機能する
通知があると「設備が止まったのは自社故障ではなく外部要因(瞬低/系統)かもしれない」と即断でき、 無駄な故障点検を省いて復旧に集中できます。対策側では「何ms〜何秒守れば止まらないか」の設計要件化が進みます。
対策の選び方:UPS / 蓄電 / 直流保持
UPS(瞬停〜短時間)
数100ms〜数分の保持で「止めない」を実現。PLC/制御盤/通信の保護に相性が良い。 瞬低(瞬時電圧低下)によるリセット/トリップ対策としても有効です。
蓄電(短時間〜長時間)
目的が「止めない」だけでなく、BCPや系統不安定への備えまで含む場合に有効。
直流保持(局所最適)
“止めたくない負荷だけ”を局所的に守る。設計が合えばコスト効率が高い。 電源のホールドアップ(DC保持)や電源構成見直しが効くケースもあります。
失敗しない最小チェック
- 「止まった機器」と「止まらなかった機器」を分けて記録している
- 停止の瞬間が“瞬断”なのか“電圧低下(瞬低)”なのか判別できている
- 復旧に必要な手順(人手・時間)が把握できている
- 守るべき負荷(制御盤/通信/計測/サーバ)を絞れている
ここが揃うと保持時間と構成が決まり、見積が“精度の高い投資判断”になります。 公開情報(履歴)+通知(あれば)+受電点記録+設備ログが揃うと、切り分けが一気に速くなります。
FAQ
- Q. 瞬停と停電の違いは?
- 瞬停は極短時間の電源断(または電圧消失/低下)で、設備が停止するかどうかが焦点です。停電はより長時間の供給停止を指し、影響範囲と復旧が大きくなります。
- Q. 瞬低(瞬時電圧低下)と瞬停は同じですか?
- 同一視されがちですが、厳密には異なります。瞬低は「電圧が一時的に大きく低下する現象」で、供給停止(停電)ではない場合もあります。 ただし機器側は電圧低下でもリセット/トリップするため、実務では「止まったかどうか」「何ms〜何秒の保持が必要か」で対策要件を決めます。
- Q. 電力会社の「瞬低(瞬時電圧低下)履歴」はどこで確認できますか?
-
地域によって提供形態が異なります。公開ページで履歴/一覧を確認できる例もあれば、契約者向けの個別通知(メール等)に重点を置く例もあります。
- 東京電力パワーグリッド(例):瞬時電圧低下履歴検索
- 関西電力送配電(例):過去の瞬時電圧低下一覧
- 九州電力(高圧向け例):瞬低お知らせメールサービス(6kV/22kV受電)
- 中部電力(法人向け例):ビジエネ(法人向けWEB会員)
- Q. 中部電力エリアでは“瞬低の履歴が一般公開されていない”のはなぜ?
- エリアや事業者の方針によりますが、製造業などの高圧・特別高圧の契約者に対して「受電系統に紐づく異常を個別に即時通知する」方式にリソースを集中させるケースがあります。 一方で一般向けの停電情報サービスは一定時間以上の停電を主対象とすることが多く、瞬低のリアルタイム履歴をウェブで一般公開しない場合があります。
- Q. 雷が多い地域だけの問題?
- 落雷は典型要因ですが、系統側の瞬断・瞬時電圧低下、切替動作、設備側の保護動作でも起こり得ます。
- Q. まず何から測るべき?
- 「止まった瞬間の電源状態(電圧低下/瞬断時間)」と「止まった機器」をセットで記録するのが最短です。保持時間の要件が出れば、対策の候補は一気に絞れます。
- Q. “通知が来た直後”に現場は何をしますか?(工場・施設管理)
- ①停止・警報の有無確認(モーター/コンプレッサ、ロボット、制御PC/サーバ等)→②安全確保と手動復旧(インターロック解除、順次起動)→③被害範囲の把握(仕掛品/品質、復旧時間)→④原因の照合(外因か内因か)→⑤再発防止(UPS増設、瞬低再始動リレー等)という流れで、秒〜分単位で動きます。
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