電気の質に関する報告書
よみ:でんきのしつにかんするほうこくしょ
「電気の質に関する報告書」は、周波数・電圧・停電に関する公式報告書です。 電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、一般送配電事業者から受領した実績を集約し、 電気の供給信頼度を把握する資料として公表しています。
ただし、この報告書だけで、瞬低・瞬断・サージ・復電時の電圧変動など、 需要家側で設備停止につながる短時間の電力品質トラブルをすべて把握できるわけではありません。 公式統計で見えるものと、現場側で記録すべきものを分けて読む必要があります。
※公式統計は重要ですが、PLC・インバータ・PoEスイッチ・サーバが止まった現場では、発生時刻と設備ログの記録も必要です。
電気の質に関する報告書とは
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表する、周波数・電圧・停電に関する年次報告書です。電気の供給信頼度を把握するための公式資料ですが、瞬低・瞬断・サージなどの短時間の電力品質トラブルは見えにくい点に注意が必要です。
報告書では、主に 周波数、電圧、停電 の実績が整理されています。 供給区域別・年度別の推移を見ることで、日本の電気の供給信頼度を確認できます。 一方で、瞬低・瞬断・サージのように、短時間で設備側に影響する現象は、 この報告書の統計だけでは見えにくい点に注意が必要です。
公式統計の読み方
この報告書で見えるもの、見えにくいもの
「電気の質」という名前から、瞬低・瞬断・サージまで網羅しているように見えますが、 報告書の中心は、周波数の時間滞在率、電圧の維持範囲、停電・供給支障の実績です。 そのため、需要家側で発生する一瞬の停止や再起動は、別途一次データで確認する必要があります。
Frequency
周波数に関する実績
標準周波数から一定の変動幅に維持された時間の比率、 つまり周波数時間滞在率を確認します。 50Hz・60Hzエリアごとの調整目標範囲と、年度別の推移を把握できます。
Voltage
電圧に関する実績
100V・200V系統について、維持すべき電圧範囲から逸脱した測定箇所があるかを確認します。 測定は選定された箇所で行われ、30分平均の最大値・最小値により評価されます。
Outage
停電に関する実績
事故発生箇所別の供給支障件数、原因別供給支障件数、 低圧電灯需要家の停電実績などを確認します。 長時間停電や供給支障の傾向を見るための統計です。
なぜ瞬低・瞬断は公式統計だけでは見えにくいのか
現場では、 「最近、瞬低や瞬停が増えているのではないか」 「これは自社設備の問題なのか、電力系統側の問題なのか」 という疑問が自然に生まれます。 しかし、公式統計の停電時間や供給支障件数だけでは、数十ms〜数秒の電圧低下や瞬断を十分に捉えきれない場合があります。
統計と現場のズレが生まれる主な理由
- 電圧測定は、主に30分平均の最大値・最小値で逸脱を確認するため、短時間の瞬低・瞬断・サージは見えにくい
- 停電統計は供給支障を中心に扱うため、自動再閉路で復帰した短時間事象は統計上の停電として見えにくい
- 電力会社側では「停電なし」でも、需要家側ではPLC・インバータ・PoEスイッチ・サーバが停止することがある
- 再エネ流入、軽負荷期、同期電源の減少、施設内の相バランス崩れなどにより、電力品質の見方が複雑化している
したがって、瞬低・瞬停・サージの評価では、公式報告書を確認したうえで、 需要家側でも発生時刻、電圧変動、停止した機器、UPSログ、PLC・インバータ・PoE機器のログを記録する必要があります。
近年の報告書で注目すべき点
2023年度版・2024年度版では、中西エリアについて、 再生可能エネルギー電源の増加、同期電源の減少等を背景に、 主に軽負荷期に周波数調整目標範囲を逸脱する断面が一定程度あったことが記載されています。
読み取れること
- 長時間停電の統計だけを見れば、日本の供給信頼度は現在も高く見える
- 一方で、周波数・電圧の維持には、再エネ増加や同期電源減少の影響が現れ始めている
- 公式統計で「逸脱なし」とされる電圧でも、需要家設備では瞬低・瞬断・サージにより停止や故障が起き得る
- 電力品質は、系統側のデータと現場側のログを重ねて判断する必要がある
公式PDF
電気の質に関する報告書 年度別リンク
以下は、OCCTOが公表している「電気の質に関する報告書」の年度別PDFです。 周波数、電圧、停電の実績を確認する公式資料として参照できます。
瞬低・瞬停対策では、公式統計に現場データを重ねる
「電気の質に関する報告書」は、電力系統全体の信頼度を見るうえで重要です。 しかし、設備停止の原因を切り分けるには、公式統計だけでなく、現場側の一次データが必要です。
現場で記録すべき項目
- 停止・再起動・トリップが起きた時刻
- 電圧低下、瞬断、電圧上昇、サージの有無
- 停止した機器と止まらなかった機器
- UPS、PLC、インバータ、PoEスイッチ、サーバのログ
- 復旧に要した時間と人手
- 相バランス崩れ、負荷不平衡、大容量機器の起動タイミング
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停電統計で見えない電力品質を切り分ける
公式統計で全体像を確認したうえで、瞬低・瞬停・過電圧・サージ・相バランス崩れを切り分け、 必要に応じてUPS、DC保持、PoE保持、電力品質記録へ進みます。
FAQ
- Q. 電気の質に関する報告書とは何ですか?
- 電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表する、周波数・電圧・停電に関する年次報告書です。 一般送配電事業者から受領した実績を集約し、電気の供給信頼度を確認するために使われます。
- Q. この報告書で確認できるものは何ですか?
- 周波数時間滞在率、電圧の維持範囲に対する逸脱状況、供給支障件数、 低圧電灯需要家の停電実績などを確認できます。
- Q. 瞬低や瞬断の発生回数は分かりますか?
- この報告書は、瞬低・瞬断・サージの全発生回数を直接示す資料ではありません。 電圧は主に30分平均で確認され、停電は供給支障を中心に扱われます。 そのため、設備停止につながる短時間の電力品質トラブルは、現場側で記録する必要があります。
- Q. なぜ停電統計と現場の実感がずれるのですか?
- 電力会社側の統計では停電として扱われない短時間の電圧低下や自動再閉路を伴う事故でも、 需要家側ではPLC、インバータ、PoEスイッチ、サーバなどが停止・再起動することがあります。 そのため、統計上の停電時間が短くても、現場では電力品質トラブルを体感する場合があります。
- Q. 瞬低・瞬停対策では何を記録すべきですか?
- 発生時刻、電圧変動、停止した機器、UPSログ、PLC・インバータ・PoE機器のログを記録します。 公式統計と現場側の一次データを重ねることで、系統側の問題か、施設内の負荷・相バランス・設備側の問題かを切り分けやすくなります。
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