一次データとは?
よみ:いちじでーた
一次データは「証拠」であると同時に、保持時間(ホールドアップ)や冗長化など“設計要件”を確定する材料でもあります。
特に 瞬停(瞬時停電) / 瞬時電圧低下(瞬低) / クリーン電源 の文脈では、 “止まった瞬間”の証拠が無いと切り分けができません。
※「通信が切れている時」「止まった直後」こそ一次データが必要です。上位に送れない前提で、現場側で残す設計が効きます。
一次データの定義(何が“一次”なのか)
現場で直接取得される生データ。工程ログ・センサー値・機器ステータス・通信ログなど、加工前の“もっとも信頼性の高いデータ”を指す。品質保証・監査・トレーサビリティや、デジタルツイン/故障予知の基礎となる。
一次データの例(加工前)
- センサー値(温度・圧力・電流・電圧・振動など)の時系列
- PLC/インバータのステータス・アラーム履歴
- 制御盤電源(DC24V等)の低下/復帰イベント
- 通信機器のリンクダウン/再接続ログ
- 装置の開始/停止/原点復帰などイベントログ
一次ではない例(加工後)
- KPI(OEE、稼働率、品質指標など)の集計値
- ダッシュボードの平均値・合算値
- 「障害っぽい」推定ラベル(推論結果のみ)
- 後処理で欠落補完・丸めされた時系列
加工後データは便利ですが、切り分け・監査では一次(加工前)に戻れることが重要です。
なぜ一次データが重要なのか(現場で効く3つの場面)
切り分け(原因究明)
外因(系統)か内因(設備)かを決めるには、受電点・盤内電源・装置ログの同時刻照合が必要です。 一次が無いと「それっぽい推測」になり、対策がブレます。
トレーサビリティ
仕掛品の品質判定や、後追い検証(いつ・どの設備で・何が起きたか)には一次が必要です。 ログ欠落は、説明コストと信用コストになります。
重大インシデント対応
影響が大きい停止は 重大インシデント になり得ます。 その時に必要なのは「説明可能性」と「証拠」です。一次があると、初動と報告が速くなります。
自律分散・非同期(Off Grid®)で一次データを“欠落させない”
一次データが本当に必要になるのは、通信断・瞬停・停止・復旧作業の最中です。 つまり「上位システムに送れない」前提で、現場側(エッジ)に残る設計が強いです。
- ローカル保持(バッファ):上位が落ちても、一定期間は現場で蓄積する
- 非同期集約:復旧後にまとめて送る(再送/重複排除)
- 時刻整合:設備ごとの時計ズレを前提に、補正可能な情報を残す
- 順序の証拠:タイムスタンプだけでなく、シーケンス(連番)も持つ
ここを押さえると、オフグリッド(自律分散・非同期)環境でも「後から確定できる」データになります。
最小チェックリスト(まずこれだけ)
一次データの最低限セット
- 時刻(ミリ秒精度が理想。難しければ秒でもよいが“ズレ”を意識する)
- 設備ID/系統(どの盤・どのライン・どの装置か)
- 状態(値・ON/OFF・アラーム・停止理由コード)
- イベント(開始/停止/復旧/瞬断/リンクダウン等)
- 順序(連番・カウンタ。後で“どっちが先か”が分かる)
電源系(瞬停/瞬低)なら、これを“セット”で
- 受電点(可能なら電源品質計測)
- 盤内電源(DC24V等)の低下イベント
- PLC/インバータのアラーム履歴
- 通信機器(スイッチ/ルータ)のリンク状態
FAQ
- Q. 一次データとは何ですか?
- 現場で直接取得した加工前の生データ(センサー値、機器ステータス、工程ログ、イベントログ等)です。原因切り分けや監査の根拠として強い「証拠」になります。
- Q. KPIや集計値があれば十分では?
- 日常運用では有効ですが、停止・品質トラブル・監査では一次に戻れないと詰みます。欠落・丸め・時刻ズレの影響を受けるため、一次(加工前)を残しておくのが安全です。
- Q. 自律分散・非同期(Off Grid®)と一次データは?
- 上位が落ちても現場に残り、後から非同期に集約できる一次データが重要です。通信断や瞬停の最中こそ証拠が必要になるため、ローカル保持と再送設計が効きます。
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