Purpose / Power Vaccination
落雷・雷サージ
復電事故・系統事故を事前に避ける。
予防停電
Power Vaccination / Preventive Power Isolation
落雷・雷サージ・復電事故・系統事故の影響が重要設備に及ぶ前に、危険が予測された段階で重要負荷を商用電源系統から切り離し、独立電源による継続運転へ移行します。重要負荷を電源リスクからあえて切り離すこの予防保全を、当社では「予防停電」と定義しています。
What to check
雷対策を、重要負荷を電源リスクからあえて切り離す予防保全へ
SPD、バリスタ、接地は重要です。ただし、雷や系統障害が発生する時間帯に、 重要負荷を危険な商用系統へ接続し続ける必要はありません。 予防停電は、従来の耐雷対策を否定するのではなく、予測、切離し、独立運転、監視、復帰という時間軸を追加します。
Definition
予防停電とは
予防停電とは、落雷、雷サージ、系統障害、法定停電、復電などによる電源障害が予測される場合に、 重要負荷を事前に商用電源系統から切り離し、UPS、蓄電池またはオフグリッド電源で運転を継続する電源保護の運用概念です。
本ページでは、当社が提唱する概念として「予防停電」と定義します。 英語では技術的な説明語として Preventive Power Isolation、 予防思想を示す表現として Power Vaccinationを使用します。
重要負荷を電源リスクからあえて切り離す。
業務を止めないための予防保全、それが予防停電です。
Difference
自然停電・計画停電との違い
自然停電は、落雷や系統事故などによって予期せず電力供給が停止する現象です。 計画停電は、設備点検や需給調整などのために、あらかじめ予定して電力供給を停止します。 これに対して予防停電は、重要負荷を停止させるための停電ではありません。 電源リスクが設備へ及ぶ前に商用電源系統から切り離し、 独立電源による継続運転へ移行する予防保全です。
| 区分 | 発生・実行の起点 | 重要負荷の状態 |
|---|---|---|
| 自然停電 | 落雷、系統事故、災害などによる予期しない供給停止 | 停止する可能性がある |
| 計画停電 | 設備点検、工事、需給調整などによる予定された供給停止 | 停止または代替電源で運転する |
| 予防停電 | 電源リスクが設備へ及ぶ前に、需要家側で商用系統から切り離す | 独立電源で継続運転する |
Preventive Protection
破壊・故障の前に「事前に防御状態をつくる」
予防停電では、落雷・雷サージ・復電事故・系統事故が発生してから 保護動作を行うのではありません。 危険が予測された段階で、蓄電状態、接続負荷、通信状態を確認し、 重要負荷を独立電源へ移行した上で商用電源系統から切り離します。
↓
蓄電状態・負荷・通信状態を確認する
↓
重要負荷を独立電源による継続運転へ移行する
↓
商用電源系統から切り離す
↓
落雷・停電・復電の危険時間帯を防御状態で通過する
↓
系統の安全を確認して復帰する
Prevention and Mitigation
侵入を防ぐ予防停電と、被害を軽減するSPD・バリスタ
予防停電とSPD・バリスタは、同じ雷サージ対策でも役割が異なります。 予防停電は、落雷リスクを事前に把握し、重要負荷を商用電源系統から切り離すことで、 電源線を経由する雷サージの侵入経路をあらかじめ遮断する考え方とシステムです。
一方、SPDやバリスタは、設備側へ侵入した雷サージや残留過電圧を制限し、 機器に加わる電気的ストレスと被害を軽減します。 予防停電は侵入前の対策、SPD・バリスタは侵入時および侵入後の被害軽減策です。
Prevention
予防停電|雷サージの侵入経路を事前に遮断する
雷の接近や系統異常を事前に把握し、 重要負荷を独立電源へ移行した上で商用電源系統から切り離します。 雷サージが到達する可能性のある電源経路そのものを、 危険な時間帯だけ意図的に分離します。
雷リスクを予報・検知する
気象情報や将来の現地電界検知により、危険を事前に把握します。
独立運転の準備状態を確認する
蓄電状態、接続負荷、通信、保持可能時間を確認します。
商用電源系統から切り離す
重要負荷を独立電源へ移行し、電源線からの侵入経路を遮断します。
独立電源で運転を継続する
UPSや蓄電池により、系統分離中も重要業務への給電を継続します。
Mitigation
SPD・バリスタ|侵入したサージによる被害を軽減する
SPDやバリスタは、雷サージそのものの発生や侵入経路をなくす装置ではありません。 設備側に現れた過電圧を制限し、機器へ加わるエネルギーを抑えることで、 故障や破壊の可能性を低減します。
雷サージを分流・制限する
電源線、通信線、信号線などから侵入するサージを制限し、 接地側へ分流します。
機器内部の過電圧を抑制する
装置内部や末端側で残留する過電圧を制限し、 電子回路への電気的ストレスを軽減します。
電源線以外の侵入経路を保護する
通信線、アンテナ線、太陽光DC線、センサー線、 接地電位差など、系統分離だけでは残る経路を保護します。
予防停電とSPD・バリスタは、作用する段階が異なる
BEFORE INGRESS
予防停電
雷サージが電源系統から重要負荷へ侵入する前に、 商用系統との接続を切り離します。
AFTER INGRESS
SPD・バリスタ
侵入した雷サージや残留過電圧を制限し、 設備への被害を軽減します。
電源線からの侵入は予防停電で防御し、 切り離せない通信線、信号線、接地経路や残留サージは SPD・バリスタで被害を軽減する。 両者を役割に応じて併用することで、落雷対策の実効性を高めます。
Cost Effectiveness
止めてはいけない重要負荷を優先する
予防停電は、建物全体を商用電源系統から切り離す構成にも、 受注、通信、制御、医療などの重要負荷を個別に切り離す構成にも適用できます。 設備の規模、負荷容量、必要な継続時間、停止による影響を確認し、 止めてはいけない重要負荷から優先して防御状態を整えます。
重要負荷を優先する
停止が業務、通信、安全、医療、制御へ直結する負荷から、 系統分離と独立運転の対象にします。
建物全体にも適用できる
負荷容量と独立電源の構成が適合すれば、 特定の重要負荷だけでなく、建物や拠点全体を対象にできます。
既設設備と組み合わせる
既設UPS、発電機、SPD、受電設備を活用しながら、 系統分離と独立電源による防御機能を追加します。
故障後の復旧費用と停止時間を予防する
落雷や系統事故による損傷では、機器交換費用だけでなく、 現地確認、原因調査、再設定、代替機の手配、業務再開までの時間が発生します。 予防停電は、これらの故障と復旧損失を事前に回避することを目的とします。
対象範囲は、建物全体か重要負荷だけかを一律に決めるものではありません。 負荷容量、配線経路、独立運転時間、既設設備、停止損失を確認し、 必要性の高い範囲から段階的に構成します。
Lightning Alert Automation
雷警報システムによる予防停電の自動化
当社では、雷警報をシステムで受信し、 予防停電の判断と商用電源系統からの切離しに連動させるシステムを開発しています。 システムの基本機能は開発済みであり、現在は提供方法、対象市場、運用条件について市場性調査を行っています。
雷リスクの把握方法として、外部から配信される気象情報を利用する方式と、 現地の大気電界変化を検知する方式を想定しています。 当初は、現地へ専用センサーを設置せずに導入できる 外部気象情報配信型からサービスを開始します。
外部気象情報配信型
- 現地へ専用センサーを設置せずに導入できる
- 複数拠点を共通の監視基盤で管理できる
- 雷が到達する前の準備時間を確保しやすい
- 遠隔監視システムと予防停電制御を連動できる
- 当初のサービス提供方式として採用する
現地電界検知型
- 現地周辺の大気電界変化を直接検知する
- 局地的に急発達する雷雲を現地で把握する
- 通信断時にもローカル判定できる構成に対応する
- 設置環境、校正、ノイズ、しきい値について事前検証が必要
月額利用のサブスクリプションサービス
雷警報の受信、対象拠点の監視、予防停電の判断、 独立運転中の状態確認、警報解除後の復帰管理を含むシステムとして、 月額利用のサブスクリプションサービスで提供します。
Operation States
切離しだけでなく、安全な復帰まで設計する
商用系統で通常運転します。
雷リスクを受信し、蓄電残量、負荷、通信状態を確認します。
商用系統から切り離し、独立電源で重要負荷を運転します。
雷通過後も待機し、入力電圧・周波数・電源品質を確認して段階復帰します。
24/7 Monitoring
遠隔監視が、予防停電を運用に変える
切り離しただけでは、蓄電残量、負荷状態、入力復帰、通信状態が分かりません。 24時間365日の遠隔監視により、独立運転中の状態を確認し、安全な復帰判断と初動対応を支えます。
- 入力・出力電圧、電流、電力、周波数の確認
- 蓄電状態と推定保持時間の確認
- 切離し・復帰・異常イベントの記録
- 警報反復による頻繁な切替を防ぐ待機制御
- 手動・半自動・自動モードの運用設計
雷・サージ・復電事故を理解する
雷サージの侵入経路、SPDの役割、瞬停・復電時に発生する障害を整理します。
雷サージとは
落雷による過電圧が、電源線、通信線、接地などから侵入する仕組みを確認します。
SPDとは
侵入した雷サージを制限・分流するSPDの役割と、単体対策の限界を整理します。
瞬低・瞬停はなぜ増えたのか?
停電に至らない電源変動が、制御・通信・精密機器を止める理由を確認します。
停電点検のトラブル事例――その時、現場で何が起きたのか?
停電前、停電中、復電後に発生するトラブルを時系列で整理します。
法定停電の復電時にUPSが壊れるのはなぜか
復電時のサージ、突入電流、同時起動、老朽化が重なる障害を確認します。
UPSの落とし穴16選
UPSの停止前兆、過負荷、保持時間不足、復電時障害を横断的に確認します。
危険な系統から離れている間も、業務を止めない
重要負荷を独立電源へ移し、必要な保持時間、無瞬断切替、遠隔監視を成立させる構成を確認します。
既設UPSを活かしながらバックアップ時間を延長する
既設UPSを撤去せず、上流へ蓄電電源を追加して運転時間を確保します。
既存の非常用電源を活かす発電機のハイブリッド化
発電機、UPS、蓄電池を役割分担させ、危険時間帯の運転継続を支えます。
非常用発電機が「動かない」――燃料が届かない時代のBCP
発電機だけに依存せず、蓄電電源を組み合わせる理由を整理します。
長期化する供給リスクと制御電源UPS
PLC、IPC、DC24V、通信など、設備の脳を局所的に守る考え方です。
可搬型UPSをコンセント側に入れ、PoEの全断を止める
通信系統を独立電源で保持し、停電・瞬停時の再起動ループを防ぎます。
導入事例で確認する
重要負荷を切り分け、独立電源と監視を実際の現場でどのように運用しているかを確認できます。
関連する設計思想
予防停電の先にある業務継続、オフグリッド、復旧設計を確認できます。
対応製品・監視を見る
無瞬断で独立運転する電源と、状態を継続して確認する監視基盤を確認できます。
Next Step
電源リスクの侵入経路を減らし、業務停止時間を短くする
予防停電は、建物全体にも、止めてはいけない重要負荷にも適用できます。 電源線、通信線、接地、太陽光入力、既設UPS、必要保持時間を整理し、 予防停電、SPD・バリスタ、独立電源、遠隔監視を役割に応じて組み合わせます。 雷サージが侵入する前に商用電源系統から切り離し、 侵入した場合の被害を軽減しながら独立運転を継続することで、 故障と復旧に伴う業務停止時間を短くします。
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